事業再構築補助金、申請可能性のチェック方法をわかりやすく解説

こんにちは。練馬の認定支援機関、公認会計士表順一です。お伝えしてきた、中小企業の思い切った事業再構築を支援する「事業再構築補助金」の公募が3月26日から開始されました。

それに先立ち、「事業再構築指針・事業再構築指針の手引き」が3月17日に公表され(既に3月29日第1回改定)、事業再構築補助金の申請要件の詳細が明らかになりました。公募要領・事業再構築指針・事業再構築指針の手引きを読み込んでいくと、当初の予想とは異なり、かなり深いしっかりした分析が必要とされている印象です。事業計画策定には十分な時間をかける必要がありそうです。

事業再構築補助金の申請を考えている方は、今検討している事業が要件を満たしているかどうか、この記事を参考に是非チェックしてみてください。

公表された事業再構築補助金の主要申請要件、スケジュール

事業再構築補助金の主要な申請要件は、事前にアナウンスされていた事項と同様に以下のようになっています。

(1)売上が減っている
申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少。

(2)事業再構築に取り組む
事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う。
事業再構築指針では事業再構築を新分野展開、業態転換、事業転換、業種転換の4つの類型に分けて定義をしていますが、それぞれの要件は表のように複雑になっています。

(3)認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。また、補助金額が3,000万円を超える場合は、計画策定に金融機関も参加する必要があります。

第一回目の申請受付のスケジュールは、
【公募期間】
公募開始:令和3年3月26日(金)
申請受付:令和3年4月15日(木)予定
応募締切:令和3年4月30日(金)18:00

となっています。

申請受付には、GビズIDプライムアカウントが必要ですので、事前に取得しておくことをお忘れなく。

事業再構築指針はこちら

事業再構築指針の手引きはこちら

それでは、今考えている新事業で事業再構築補助金の申請ができるかどうか簡単にわかる方法を解説していきます。4つのSTAGEの順番に従ってチェックしてみてください。

STAGE1 売上減収要件の検討

まずは、申請前の直近6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業であることが必要です。

●売上減少の比較方法
任意の3カ月は連続していなくてもOKです。例えば、2021年4月に申請するとすれば、コロナ以前とは2019年又は2020年1~3月を指します。

比較することができる月を「応答月」という言い方をします。

下の事例1のように2020年12月、2021年2月、2021年3月の売上高を選択した場合は、

①2020年12月分は、応答月である2019年12月分のみと比較可能。

②2021年2月分は、応答月である2019年2月分または2020年2月分と比較可能

③2021年3月分は、応答月である2019年3月分または2020年3月分と比較可能

となります。

すなわち、1×2×2=4通りのパターンの比較ができることになります。

事例2では8通りのパターンの比較ができますが、事例3、事例4の場合は、それぞれ1通り、2通りのパターンの比較しかできないことになります。

STAGE2-1 新たな取り組み要件の検討

補助金を使って行う事業の「製品」・サービスが新しい、または「その作り方」や「提供方法」が新しいことが必要です。

新たな取り組み

以下の1~5までのどれかにあてはまれば、新たな取り組みはOKです。

1.過去にその、業種(例えば「飲食業」)、事業(例えば「焼肉店」)をやったことがない

2.過去にその製品は作ったことがない(同じ製品を作るのは対象外)

3.過去にそのサービス、商品は提供したことがない

4.過去にその製造方法はやったことがない、ことに加えてその、製品も作ったことがない

5.過去にそのサービス提供方法はやったことがない(例えば、小売り⇒ECサイト)

STAGE2-2 新たな取り組みで1~4を選択した場合

STAGE2-1で、1.~4.を選択した場合は、さらに新たな取り組みで既存事業の売上が大きく減少しない(代替性が低い)ことが必要になります。

さらに相乗効果で売り上げが増大することや新たな顧客獲得につながれば、なお良いと考えられます(任意要件)。

STAGE2-3 新たな取り組みで5を選択した場合

①既存設備の撤去や既存店舗の縮小等を伴うもの(設備撤去等要件)

又は

②過去にそのサービス、商品を提供したことがない(商品等の新規性要件)

というどちらかの要件が必要となります。

STEP3 その他の要件の検討

次の要件をすべて満たすことが必要です。

設備投資、性能又は効能

  1. 再構築事業のための設備投資が必要です(製造等に用いる主要な設備を変更すること)。  
    新製品、新サービスのための機械設備導入、建物建設・改修、システム開発等が必要です。

    以下のものは補助金の対象にならないので留意してください。  
    ・車両、不動産、株式は対象外  
    ・汎用性のあるものはダメ  
    ・既存事業に使うための設備もNG

  2. 既存の製品、サービスと比べて向上する点が明確であること(定量的に性能又は効能が異なること)。  
    具体的な数値などで定量的に性能又は効能が向上することを説明できること。

    しかし、例えば、日本料理店が焼肉店をやるなど説明できない場合は、定量的に性能又は効能を比較することが難しいことを示すことで要件を満たすことができます。

STAGE4 認定支援機関と事業計画を作成する

認定支援機関と事業計画を策定した後は、新事業内容と売上見込みによって申請類型が決まります。

売上計画と申請類型

総売り上げの10%以上となる成長を目指したい ⇒新事業展開、業態転換

総売り上げの最大となる部門に成長を目指したい⇒ 業種転換、事業転換

以上、各STAGEで記載したポイントに従って検討していくと、複雑な事業再構築類型へのあてはめと事業再構築補助金の申請可能性が見えてくると思います。

まとめ

第一回目の申請受付のスケジュールは、

【公募期間】

公募開始:令和3年3月26日(金)

申請受付:令和3年4月15日(木)予定

応募締切:令和3年4月30日(金)18:00

となっています。

しかし、経済産業省自らが、「一般に、事業計画の策定には時間がかかります。早めに、現在の企業の強み弱み分析、新しい事業の市場分析、優位性の確保に向けた課題設定及び解決方法、実施体制、資金計画などを検討することをお勧めします。」と言っています。

かなり具体化している事業でないと第一回の申請締切には間に合いそうもないかもしれませんね。

令和3年度内に4回程度の公募が予定されているので、認定支援機関と事業計画をよく作り込んで、次回以降に応募する方が良い場合もあるかもしれません。

最後に、解説してきた内容を事業再構築補助金類型判定フローチャートにまとめたもの載せますので、事業再構築補助金申請可能性判断の参考にしてください。

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